それでも　モデラーでありたい

　１９９９年５月７日、午前１時少し前、女の子らしいやたら甲高い産声を上げて、娘が誕生した。
　これでついにワタシも父親だ！パパモデラーだ！

　娘は可愛い！一ヶ月経ってますます可愛い！
　しかし同時にかねてより懸案の育児と趣味の両立という難題が〜
　いや、こいつはホントに大変だ。
　赤ちゃんというやつは手が放せないからねー
　就職しても、結婚しても、なんとか造型を続けてきたけれど、さすがに今回は難しそう。

　せっかく子供ができたのに趣味の心配なんかしているワタシは冷たい親だろうか？
　いい加減大人になって仕事と家庭に集中するべきだろうか？
　冷静に考えれば答えはイエスだ。
　「趣味のアニメ人形製作なんかどうだっていいだろ？もっと大事なことがたくさんあるだろ？」ってみんな思うだろなぁ。
　ワタシもそう思う。

　それでも、モデラーでありたい。

　　　この世に産まれてただ一つ、自分の意志だけで始め、続けてきた道だから。
　　　震えるほどの充実感を何度も味わってきたから。
　　　モデラーであるときの自分が、一番好きだから。

　だから、止めない。

　傍目には止まっているようにしか見えないかもしれない。
　完成品は二年で一体だろうか？五年で一体だろうか？
　そんなの造っているうちに入らないかも。でも、ワタシが「止めた」と思うまで、止めたことにはならない。

　フィギュア業界の技術の進歩にはとてもついていけないだろうなぁ。そのことは素直にあきらめよう。少し悲しいけれど。
　これからのワタシは一般のレベルに比較すればどんどん下手になっていくことになる。
　それでもいい、二十年後にモデラーでいられたら、それでいい。